●キャプテンになったベンチくん
  銭谷宥司



ぼくの名前は「ひとし」という。
けど、野球のときだけ
みんなは、ぼくのことを
「ベンチ、ベンチ」という。

ぼくは、野球が大すき。
みんなでチームをつくっている。
みんなで十人。
野球は九人。
試合のときは、ひとりあまる。
だから、ぼくだけ ひとりベンチにすわる。

つらいのは、ボールひろい。
試合のとき、
ボールが草さのなかによくはいる。
さがしにいくのは、ぼくのやくめ。

ときどき
ヘビやカエルに、びっくりする。

こんなときは
もう野球をやめようとおもう。

つらいとき
ぼくは、よくべそをかいた。
そんなときは
みんなが、ぼくのことを
「ベンチ、ベンチ
ベンチのべそかき。」
「ベンチ、ベンチ
べンチのべそかき。」
と、いじめる。