●マンマの日記
  たてみ




  あたり前の日々が崩れてゆく

 平凡に過ごすことが、あたり前だった。
 家族と共にいることが、あたり前だった。
 だから、
 夫と子どもに
 申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
 こんな結果になってしまって、
 本当にごめんね。


 家族だから、心配してほしい。
 家族だから、心配させたくない。
 二つの気持ちが自分の中でクロスする。

 自分が、癌に負けてはいけない!!
 家族に心配させた分、
 一日も早く元気にならなければ…。
 癌という病気との戦いの幕が開かれた。


 手術をした誰もが言う。
 失くした胸を見て涙したと……。
 私はどうだろう?



 オペ前夜、
 浴室で全裸の自分を鏡に映す。
 両手で右胸を握りしめた。

 守ってあげられなくてゴメンネ。
 傷つけることになってゴメンネ。
 そして、四十六年間ありがとう。

 涙が止めどもなく流れた。




  手術

 三月二十六日 いよいよオペ当日。

 オペに向かう私に家族が力をくれる。
 ありがたい。
 手を振り頑張りを見せて応えた。
 そして、ほほ笑んだ。
 私の帰りを待っている家族がいるから、
 癌になんか負けられない。
 悪いところを取れば治るのだから大丈夫と自分を励ました。



 皆に背中を向けて、
 車イスの私はドアの向こうへ。

 覚悟する。
 でも不安もある。
 恐い。
 早く治したい。
 様々な気持ちが交錯する。