●フトンの国 ねむいねむい病とつまんなーい病
  門倉暁




 近ごろのけんたは、なんだかねむそうできげんが悪いのです。
 お日さまがさそっているのに外に遊びに行こうとしません。
 友だちのあきひろ君やだいすけ君が「遊ぼ」と、たずねて来ても「ぼく、いやだ」
と、自分の部屋から出て行かないのです。
 ひる間、外で遊ばないためでしょうか、夜になると、何度もうなされて、フトンをけとばしてしまいます。
 あさみは、けんたのことが心配で、このごろ落ちついてねむることができませんでした。
 今夜も、「うーん」という、けんたの声が聞こえて、あさみは目がさめてしまいました。
「まただわ」
 けんたはフトンをベッドの外にけとばしていました。
 あさみは、起き上がり、けんたのフトンをかけなおしてあげました。
 あさみが自分のフトンにもどろうとすると、フトンが動きました。
(なに? なにかいるの?)
 フトンが少しもり上がって見えました。
 あさみはフトンをそっとはいでみました。でも、フトンの中には何もいませんでした。
「おかしいな」
 あさみはフトンをかけてねむろうとすると、また、フトンが動きました。
(ごん吉?)
 ときどき、猫のごん吉が、あさみのベッドにもぐりこんできます。でも、ごん吉とは、ちょっと感じがちがいました。
 あさみがじっと、がまんしていると、もこもこ、もこもこと、フトンが持ち上がってきました。
 あさみは、「えい」と、フトンをはねのけました。
「わっ」
 かけブトンと、しきブトンの間から、大きな動物が体を半分だけ出していました。
「なっ、なに?」
 あさみは、あわてて電気をつけました。
「えっ、モグラ?」
 フトンから顔を出していたのは、茶色の顔に小さな目、そして、大きな手をした動物でした。
 たしかにモグラに似ています。でも、モグラよりもずっと大きくて、頭にやわらかい緑色のぼうし(ナイトキャップ)をかぶり、緑色のパジャマを着ていました。
「ねーえ」
と、声がして、フトンの中から別のモグラが顔を出しました。
「グー、どうしたの」
「あっ、ルル。ぼく、見つかっちゃった」
「見つかっちゃったって?」
 今度は、頭に赤いリボンをつけたモグラでした。着ているのは、ピンクに花のもようのパジャマです。
 リボンのモグラと、あさみの目が合いました。
「あっ、こ、こんばんは」
 リボンのモグラが言いました。