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●マダガスカル 自然と不思議が生きている島 塚田美奈子

ペリネはインドリの森
しばらく待っていると、「ハロー」と言って、五十代ぐらいの赤いジャンパーを来た男性が軽い足取りでやって来た。彼が、今日の私のガイドでニケーナさん。ペリネ自然保護区でのガイド歴十五年という超ベテランであった。英語もペラペラ! 早速、ニケーナさんとのペリネ森林ツアーがスタートした。(中略)
道を遮る花や草木はそっと手で除けながら、決して踏まずに歩いていった。ときどき立ち止まっては、そこらじゅうに生い茂っている植物の名前を、一つ一つ丁寧に教えてくれた。せっかく教えてもらったのだが、名前は何一つ覚えられなかった。ガイドはとても丁寧で、私にだけでなく森林にも優しかった。
穴の開いた一本の細い枝を見つけて「これはアイアイが引っ掻いた跡だよ」と説明してくれた。小学校の時に習った「アーイアイ、アーイアイ、お猿さーんだよー♪」の歌を思い出し、歌ってあげた。夜行性のアイアイを見ることはできなかったが、その痕跡を見ながら、あの長い爪で枝を引っ掻く姿をニケーナさんと真似て楽しんだ。
ニケーナさんは、枯れている花や折れてしまった木を見つけるたびに、とても悲しそうな顔を浮かべ、無言のまま、それらをじっと眺めたりもしていた。そして、「植物が植物を殺す、これが森林の掟なのだよ」と私に教えてくれた。
背の高い草木の陰になって、太陽を浴びることなく枯れてしまう花たちの姿。若い元気な木々が育っていく周囲で、充分な栄養をとることができずに傾いていく年老いた木々の姿。 また、近年は外来種が多く入り込んできて、マダガスカル固有種を上回る勢いで増えてきつつあるらしい。
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