●牛丼屋夜間アルバイト
  小野省子



  音はとけていく

夜風の音は粉末状に
さあっと星の間にとける

ねむい声のおはようは
バターのにおいで
パンにしみこむ

母の小言は薬のように
おなかの中に
ぽとりと落ちる
それからゆっくり
じゅわりととけて
一時間後に効いてくる

音はとけていく
朝や空や私の中に